ローマ人の物語 (14) パクス・ロマーナ(上) (新潮文庫)

オクタヴィアヌスが巧妙に帝政への布石を打っていく。帝政のイメージは説明せず共和制の制度を組み合わせて皇帝としての足場を固めていく。同時に既得権益を持つ元老院は共和制への移行を期待させながら帝政の一機関へと導いていく。じっくり時間をかけ、政策一つ一つの関連はさとられないように。既得権益を持つ組織があり、自分の思い描く組織像が多くの人に理解されにくい状況で、どう行動していけばよいか勉強になる。

・なぜ卓越した手腕かと言えば、1つ1つは完全に合法でありながら、それらをつなぎ合わせていくと、共和制下では非合法とするしかない、帝政につながっていくからである。

・責務を嫌えば権利も主張できなくなるのは、当然の帰結であったにもかかわらず。

・彼には、カエサルが遺した青写真を現実化する任務が課されていた。しかし、それをたちまち建設しはじめたのでは、独裁への疑惑を招きかねない。この時期は、まずは基盤づくりのみ、と考えたのではないか。

・カエサルは、征服された民族が反旗をひるがえすのは、民衆が自主的に蜂起するからではなく、民族の支配層が民衆を扇動するからであることを知っていた。

・アウグストゥスは、「気づかれないように1つずつ、長い時間をかけてすべての権力を手中にしていった」
カエサルは、強引に革命を押し進めた。
この違いは、性格、年齢、暗殺を警戒したこと、アウグストゥスが名門の出身でなかったこと、が原因している。

・カエサルは資料が豊富だが、オクタヴィアヌスは資料が少なく類推するしかない。
 →資料が無いだけで、秦、漢時代の日本は、ある程度の国といえる組織があったのかも。「漢字」も漢の時代に入ってきたから「漢字」ていうんじゃないか?