ローマ人の物語 (1) ローマは一日にして成らず

数年前ヒットし、以前からじっくり読みたいと思っていた「ローマ人の物語」を遅ればせながら、読みはじめた。その1冊目。
読みやすい簡潔な文章のおかげでページ数が多いにも係わらず、すいすい読み進められる。
農耕牧畜を営んでいたローマ人が、どのように隆盛を極めていったか、ギリシャ人の書き残した歴史書と塩野さんの洞察から明らかにしていく。現実は小説より奇なり、ノンフィクションの歴史小説のよう。フィクションで個人にスポットがあてられている司馬遼太郎などの歴史小説よりも、客観的に歴史の流れが追える。

ギリシャ人の歴史家たちによる共和制ローマ隆盛の要因
・多神教で他の宗教に対して寛容で他の民族に対して寛容になれた。
・独自の政治システムを確立し国内対立を解消して挙国一致体制を構築した。
・敗者であっても市民権を与え自分たちと同化した。

ローマ人の隆盛の過程は、国内、国外の対立軸を取り払っていく過程と、とらえることもできる。
対立していても受け入れ対立軸を無いくしていくローマ人の考えたシステムは、国や会社組織を繁栄させるのに参考になる。
現在、科学技術は進歩したが、人間は進歩していないと改めて思いました。
逆に、科学技術の発展が遅かった分、人間が頭で考えないといけない、社会システムの開発が進んだのかも。
または、科学技術の発展=イノベーションが早すぎて、あらたな対立軸の発生速度に、現代人は対処しきれていないのかもしれない。
いろいろ考えさせられる良い本でした。次の巻が楽しみです。

以下、メモ。

・ローマ人は、敗戦から学び、現実的判断を下していく。質実剛健。ゆっくりと着実に物事を進めていく。紀元前753年にロムルスが建国してから500年を経て共和制にたどり着いた。

・スパルタは、国内の奴隷を抑えるため軍事国家になった。全てが軍事優先で、皆が平等に貧乏だった。そのため、階級闘争もなく泥棒もいない。政治上の安定を長期に保つことができた。→北朝鮮みたい。北朝鮮は現状に即した政治体制をとっているということ。

・アテネの最盛期はペリクレス時代。ペリクレスが民主政をうまく機能させれたのは、民主的な考えにとらわれず、手段を選ばすに権力強化を行ったから。個人芸。

・確実な史料の裏付けがなければとりあげることの許されない学者や研究者とちがって、私たちはシロウトである。シロウトには、推測や想像も許されるという自由がある。→ブレイクスルーは往々にして異分野の人が起こす。

Amazonのページへ
ローマ人の物語 (1) ローマは一日にして成らず