岡田斗司夫さんによるアニメの評論です。
最近のアニメがこんなに奥深いものとは思いませんでした。
特に、宮崎駿監督の一連の作品の関係を考察し、世界観を明らかにしている部分は、少し鳥肌が立ちました。
「風の谷のナウシカ」に関しては原作本をもとに考察されています。自分も昔、原作漫画を読みました。アニメと全くストーリーが違う、と困惑しました。戦争で人が死にまくり、その後、セントラルドグマを知ったナウシカが、全てを破壊し、「生きねば。。。。。。。」とつぶやくのを強烈に覚えています。過去の人類が考えたやり方だと、また同じことが繰り返される、と思ったから破壊したんだと自分は思いました。正義は勝つ、ちょっとしたハッピーエンド的に見ていました。でも、著者は、全てから見放された少女が、互いに助け合う仲間と生きていこうとする、巨大な楽園喪失の物語、と解説しています。確かに、バットエンド的に見ることもできると思いました。そして、ナウシカの続編が、「もののけ姫」というのもなるほどなーと思いました。「今を生きる」ということで通底しているんだなと思いました。ナウシカもラピュタも、もののけ姫も、紅の豚も、宮崎作品は、最後は全ていつもの生活にもどる。いろいろ起きるけど。いろいろ起きて成長してまたもとに戻って、今を地道に生きる。更に、ルターの考えに通じているとも感じました。
「たとえ明日世界が終わるとしても、それでも今日私はリンゴの木を植える」
Even if I knew that tomorrow the world would go to pieces, I would still plant my apple tree.
最後に、2016年のベストと絶賛されている「この世界の片隅に」と、宮崎作品の到達点と評価されている「風立ちぬ」は、必ず観ようと思いました。これまで「戦争もの」は、悲惨さ、日本すごい!的な描かれ方が苦手で避けていましたが、アニメ作品として観たいと思いました。
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