データの見えざる手:ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則

示唆に富んだ勉強になる本でした。正規分布とボルツマン分布(U分布)の分散粒子による表現は恥ずかしながら初めて見ました。エントロピー最大=均一分散と思い込んでいました(実際は違う!)。
もともとボルツマン分布は統計物理学の粒子のエネルギーのやりとりから生まれたものだが、他の分野の「やりとりの繰り返し」もボルツマン分布になり偏りをが生まれる。80対20の法則、貧富の差もボルツマン分布に従って「自然に」うまれているという。世の中の現象を、「何のやりとり」か定義するのが難しいように感じたが、人間の関わる現象もボルツマン分布で表現できるのは面白いと思いました。

本に書かれているような面白いシステムがあるのに日立がそこから大きな利益を上げていないようで、収益に結びつけるのは難しいのかなぁとも思いました。同じように、IBMのワトソンもニュースで話題を一生懸命提供していますが、収益貢献はまだ小さいようです。

コンサルに使うというレベルではなかなか利益に結びつかないかもしれません。コンサルは結局は労働集約型の事業です。AmazonやGoogleのようにWebで自動化されたシステムで、放っておいても利益が出るようシステムに結び付けないと大きな利益に結びつかないのかもしれない。やはり「自動化」が鍵のように思います。

以下、メモ。

エントロピーとは、「乱雑さ」「でたらめさ」の尺度ではなく、「自由さ」の尺度と考えた方が良い。人間活動のエントロピーは、「自由さ」で考えることが重要である。

「起きる、起きない」のゼロか1かの現象が、確率にすることで数式であらわされる。→シュレディンガー方程式も電子の存在を確率で表現する。

運の定義「確率的に起こる好ましい出来事」
ビジネス上での運の定義「確率的に、自分が必要とする知識や情報や力を持っている人に出会うこと

運こそ実力そのもの

ビッグデータで儲ける3原則
1.向上すべき業績(アウトカム)を明確にする。
2.向上すべき業績に関係するデータをヒトモノカネに関し広く収集する。
3.仮設に頼らず、コンピュータに業績向上策をデータから逆推定させる。

コンピュータが仮設を作ることにこそビッグデータの価値がある。

「儲け」を追求するとき、見えないことろで、社会に「共感」や「ハピネス」がもたらされる効果がある。

アルゴリズム開発は、今後、機械に置き換わる。
人は、できるだけ早く、問題を作る側に移らねばならない。

仕事の生産性と質を高める方法
第一に「する必要のない仕事」を特定し、排除すること。
第二に「他の人でもやれること」を見つけ、やってもらうこと。
第三に「自分のコントロール下にある自由な時間」をひとまとめにして、重要な成果を生むことに使うこと。

Amazonのページへ移動文庫 データの見えざる手:ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則 (草思社文庫) 文庫 – 2018/4/4