AIやブロックチェーンなど旬のキーワードについて、広く浅く、要点、論点をまとめた本である。
週刊東洋経済や週刊ダイヤモンドで掲載される旬のキーワードに関する特集が組まれが、それがまとめられているような構成である。
Amazonの評価はそこまで高くないが、自分は評価「5」を付けたいと思います。要点をつかんでいてわかりやすいです。大々的に広告をうって、話題先行の外来のビジネス書よりよっぽど良いです。そいう外来のビジネス書は言いたいことは2,3行なのに回りくどい例がてんこ盛りで、読みづらい。読み終わったときは徒労感で一杯です。大概、本末の「訳者あとがき」に要点が書いてある。
外来のビジネス書とかで取り上げるテーマを要点だけに絞って説明しているのが本書です。
目次だけでも論点がわかって参考になります。
目次
1. デジタル化が変える競争戦略
・デジタルトランスフォーメーション、「日本企業ならでは」の成功手法とは
・真の「デジタル・マーケティング」へ―デジタルだからこそできるマーケティングとは
・AI―一大ブームから、いよいよ実用段階へ
(AIは、短期的にはできることは限られる。長期的にはやれることが広がっていく。AIは、意味のある使い方をしようとすると、カスタムメイドに近づいていく。)
・破壊的技術、ブロックチェーンにどう備えるか
(ブロックチェーンの技術特性は、連続性の実現とスタック構造を持つこと。連続性の実現は、前後関係をデジタルで保証することで第3者の管理が不要になる。スタック構造により、ブロックチェーン自体がプラットフォームになる。現在、グーグルやアップルはインターネット上にプラットフォームを作り、第3者がアプリを開発し課金している。これら変化に対応するためには、将来を自ら作り上げようという志が重要となる。)
2. 人手不足・少子高齢化時代を生き残る
・世界で進む少子高齢化―人口構造の変化は日本企業にどんな意味を持つか
(日本人口は2065年に2/3になる。それに伴い市場も縮小する。その際、業界再編が起こり寡占化が進む。生き残って寡占に成功した企業は高いキャッシュフローが得られる。B2C商品の場合、世代を超えて使われ続けるので寡占が継続しやすい。寡占はイノベーションとセグメンテーションで崩される。経済成長を加速する人口ボーナスのピークは国によって違う。日本は1992年がピークだった。中国は2011年。インドが2040年。世界は2014年がピークで、新興国ブームは後半戦に入っている。今後2、30年の戦略は3つある。1つは、中国やタイから、インドやインドネシアへ軸足を移すこと。その先はアフリカと続く。2つ目は、生活必需品の販売から、ヘルスケア領域へ進出するか、保守・運用・メンテや金融などサービス業へ転換すること。3つ目は、アメリカに軸足を移すこと。アメリカは移民の流入もあり人口が維持されるから。これら変化は2,30年での変化なので1,2年はわずかな変化であることを注意する必要がある。)
・アジャイルによる働き方改革―チームから組織全体に浸透させるために必要なこと
(ある欧米系大手金融機関のCEOは、「自社を「銀行」ではなく、「金融商品を扱うIT企業」にしたい」と宣言。アジャイルで課題を一つずつ解決していき効果をあげた。自動化を徹底する。正しい成果指標を使い、しつこく計測し続ける)
・バリューベース・ヘルスケアの衝撃―日本の医療システムの救世主となるか?
・競争戦略としてのダイバーシティ
(「運」を「人生や社会で確率的におこる望ましい現象」と定義すると、自分が必要とする知識や情報や力を持つ人とのつながりが、自分の望む現象が起きる確率=「運」を高めることになる。地域振興における「よそ者」「若者」「バカ者」論。)
3. ディスラプト(断絶)後の勝者の条件
・新ステージに入ったグローバリゼーション
(成長地域、成長モデルが分散、多様化する。これに保護主義の動きが加わり、地域に合わせた地産地消型の生産が必要になる。それに伴って貿易の需要度が低下する。
モノやサービスの連携が重要になり、サービスによる差別化、収益化ができることが競争力の肝になっていく。
製品販売後の顧客との関係性構築が顧客維持と収益拡大のために必要となる。すなわち、顧客に近づいていくことが成功の必須条件である。)
・「つながる時代」のビジネスモデル・イノベーション―4つのレイヤーで競争の構図を理解する
(現在のビジネスモデル:データ獲得→分析→分析結果の活用→分析へのフィードバック→分析の高度化
尖ったサービスで生き残ることが可能。)
・「M&Aレベル3」の時代へ―単なるシナジー追求を超え、組織活性化をめざせ
・シェアリング・エコノミー―自らのビジネスにどう取り込むか検討すべき
(シェアリングの積極的な活用と、自社への影響を考える必要がある。)
・「値上げは悪」からの脱却―顧客の感じる価値を軸にプライシングモデルを組み立てよ
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