好きな作家さんである浅田次郎の短編小説。相変わらず人間模様の描写が上手で今回も引き込まれた。更に、文章構成も工夫されていて、伏線を回収しながら話が展開していくため、先が読みたくなる。アパートの住人それぞれ、美貌、無骨、理解に苦しむ行動、表面だけだと、助平な目で見たり、距離を置きたくなるけど、バックグラウンドを知ると共感し寄り添いたくなる。深くつながりらない、深く詮索しない。深く傷ついた人には寄り添う。現代の人とのつながり方を示唆しているよう。心はお金や物質的なものではどうにもならない。
「世の中は千金万金をつまれたって、売ってはならないものが沢山あるのです。」
最終話は、それまでの短編で住人たちのバックグランドがわかっているだけに、短い文章でも深みがある。
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