入門 ビットコインとブロックチェーン

野口先生による今話題のビットコインを前面に出したブロックチェーンの解説書。Q&A形式になっており、「ビットコインは安全か?」といった複数の疑問に、それぞれフォーカスしたわかりやすい解説書になっている。野口先生の「超」シリーズをいろいろ読んできたが、特にお世話になった「超」文章法を体現する解かりやすい文章になっている。内容も非常に勉強になった。ビットコインを投資対象としてしか見ていなかったが、基本技術となっているブロックチェーンの仕組みと、その将来性、社会に対するインパクトがよくわかった。ブロックチェーンを活用すれば管理が必要ない組織が作れる、よって管理者、経営者が必要なくなる、とAI同様、こちらも既存の仕事が無くなるという流れになっている。野口先生は、より人間らしい仕事をやっていけば良いと、具体的な生き残る職業を挙げていなが、やはりブロックチェーンのシステムを作る人は必ず必要になるはず。今のAI技術者活況のように。ブロックチェーンのプログラムをはじめようと、強く思いました。

以下、読書メモ。

・ブロックチェーンの重要性は、インターネットができなかったことを実現したこと。すなわち、「経済的な価値を送ること」と「信頼性を確立すること」の2点。これによって経済的価値を安いコストで送ることが可能になり、またデータが正しいと言えるようになった。

・ダン・タプスコット「従来のインターネットが情報のインターネットであるのに対して、ブロックチェーンは価値のインターネット」

・パブリックブロックチェーンとプライベートブロックチェーンがある。プライベートブロックチェーンは閉じた組織内で運用。社内で使われる可能性が高い。パソコン10台ぐらいで運用可能。

・ブロックチェーンの応用、金融では通貨、証券、保険、資金調達。

・シェアリングエコノミーも運営元がブロックチェーンに置き換わる。

・IOTはセキュリティーとサーバー負荷が問題だが、ブロックチェーンで解決できる。IOTのために開発されたIOTA(あいおーた)はブロックチェーンでなくTangleという仕組みを使い量子コンピュータ耐性を持つ。時価総額は全仮想通貨中10位。

・ブロックチェーンは、10分間の全取引を圧縮したハッシュ値と元データの一部(ナンス)からなるブロックが、時系列でつながったもの。前のデータのハッシュ値からナンスをもとめることでつながりの信頼性が確認される。これがマイニング。

・ブロックチェーンに最も力を入れているのは中国。

・ブロックチェーンを使ったスマートロックのスタートアップ、Slockit(スロックイット)

・ブロックチェーンを活用した事業は経営者のいない新しい組織「DAO (Decentralized Autonomous Organization)」分散自立型組織。DAOは、技術開発やメンテナンスをする人はいても、仕組み自体を管理する人はいない。一度完成したら当初メンバーが全員いなくなっても動き続ける。

・スマートコントラストとはコンピュータが理解できるかたちの契約。