【書評】早期退職時代のサバイバル術

中高年サラリーマンの生き残り策が書かれている本。データ豊富で論文に近い説明が続くが、各章の冒頭に要点をまとめるなど、挫折させない工夫が良い。要点を確認して、興味がある部分を読むだけでも参考になる。変化が激しいため、特定領域の専門性を高めることが、必ずしも安定につながらない、という指摘に気付かされた。以下にメモを記録したが意外と多く、勉強になったよう。

・ジョブ型導入は賃金のフラット化。これまでの年功序列でこれから賃金が上がるはずだったミドル層が割を食っている。→チャンスがあれば賃金の高いジョブ=昇進をした方がよい。ジョブ型は「昇進したくない」層を刺激しようとしているシステムとも捉えられる。

・ミドル・シニア包囲網:コロナによるリストラ、職場におけるエイジズム、賃金プロファイルのフラット化、キャリヤ自律、ダイバーシティ尊重

・欧米は、ワークライフバランスを優先し給料が上がりにくい一般層と、家庭を犠牲にして出世するエリート層に分けられる。欧米は、就職の段階からジョブ型でジョブを選んでいるので、その段階で一般とエリートに分かれる。日本は40代でエリートが選ばれる。→エリートを選択するなら家庭を犠牲にする覚悟をする必要がある。ワークライフバランスに流されないこと。

・交流の場としてのサード・プレイスを持つ必要がある。

・伝統的なつながり、同窓生、地縁、親戚、家族単位で付き合わなければならない、という前提が崩れている。

・変われること「変化適応力」はキャリアの価値。

・「効力感(efficacy)」ある対象に対して「できる」、「可能だ」と思えている心の持ちよう

・ホワイトカラー業務の加齢による陳腐化、低下プロセス
第一段階:能力開発が強制的でなくなり、その場しのぎになっていくこと
第二段階:能力が陳腐化してもそれを指摘する人がいないこと
第三段階:加齢に伴って社内影響力が上がってしまうために陳腐化が固定化してしまうこと

・ニーズの高い技術は、解決策も競争になる。過当競争になる。

・日本の半導体産業の衰退、太陽電池産業の衰退、変化に適応できず日本にとどまり続けたエンジニアは大変なことになった。

・中高年の武器、4つの「ある」
1.知能、能力の高さ
2.仕事を続ける気力
3.仕事の経験
4.人脈、だれが何を知っているという情報

・シニア活躍の行動因子PEDALモデル
1.仕事を意味づける Explore
2.まずやってみる Proactive
3.学びを生かす Learning
4.居場所を作る associate
5.年下とうまくやる Diversity