【書評】紫同心江戸秘帖庚申信仰密事

時代小説。庚申(こうしん)信仰に興味があって読んでみた。庚申塚は見かけるがそれが何を意味するのか不思議に思っていた。時代小説なので庚申信仰に対する庶民の取り組みもイメージしやすかった。江戸時代に盛んで明治時代にはすたれた信仰で、現代の行事にはほとんど残っていない。

庚申信仰の呪文
「オン・コウジンレイ・マイタリ・ソハカ」

文武天皇の大宝元年(701年)に疫病がはやり四天王寺の高僧が祈り、青面金剛が現れ、願いをかなえると答えた。その日が庚申の年月日だった。その後、疫病は消えた。

体の中の三尸(さんし、3匹の虫)が、庚申の日の寝ている間に体から抜け出し、天の神に宿っている人の告げ口をしに行くので、徹夜してそれを阻止する。これは道教の考え。唐の時代の風習が朝鮮経由で日本に伝わった。

仏教の影響で、天帝は大日如来とされる。