【書評】アカデミアを離れてみたら 博士,道なき道をゆく

博士進学者で学校と企業間を行き来した人たちの体験談をまとめた貴重な本。ちょっとしたノンフィクションのように読めた。体験談だから当然か。みんなにストーリーがある。アカデミックと企業の間の大きなギャップを思いながら読むと体験談が短編ノンフィクションのように読める(この本には以下に書くアカデミックと企業のギャップのことは書かれていません。私の見解です。念のため。)。

大学や産総研などのアカデミックは組織名や雇用形態は柔軟にころころ変えるが、中身の人たちは変わらず、教授を頂点とするヒエラルキーも変えない。硬直組織。学生数が減っているのに大学が減らないのもその証拠。

世界の最先端の競争技術はデジタル関係であり、アカデミックでもその分野の人が研究や教育の中心であるべきなのに、昔からいる古い人がAI関連の衣を着て跋扈している。 学生が遅れた義務教育を受けて世界の潮流を知らないことをいいことに。

企業の研究所の方がよっぽど新陳代謝が激しくて世界の潮流の中にいる。海外の企業はもっと激しいけど。

川の中の岩のように、 変わらないアカデミックと世界と競争している企業研究所の間が最も変化が大きい。体験談を読んで感じた。

・自分が何かのプロであるといえることは強み。プロフェッショナルにはニーズがある。博士はその指標の1つ。

・行動することが強みになる。行動できる人は行動することが当たり前になっているが、実際に行動する人はわずか。

・「思考の癖」からの解放。頭いいけどプライド高く、融通が利かず、一般社会でやっていけない。アカデミアから離れたら自分の価値はなくなる。研究者として生き残ることが勝ち組。企業に言ったら負け組。これらは全て思い込み。