【書評】新世界秩序と日本の未来 米中の狭間でどう生きるか

内田氏と姜氏の対談。コロナ後を見据えた米中関係を中心とした世界秩序、その中での日本、そして日本の向かうべき道を議論していく。

米中は国内事情に基づいて対外政策を打っており、日本は安定的に衰退していっている。そして日本はイギリスのように大英帝国からソフトランディングで中規模国になったことを参考にすべき、という流れであった。

まあまあ納得感はあるが積極的に賛成して何か貢献しよう、とまでは思えない。なぜだろう?

個の考えが強くなっているからか。Webも含めれば個人の選択肢は多い。国は衰退しても個人で幸せはつかめる。これ前向き。

国が衰退して国民全体の生活レベルが下がる。自分だけ取り残されるわけじゃない。これ後ろ向き。

多分、両方の感情が混ざった結果だな。

・人間は、自己利益を増大させることよりも、同じ集団内部で相対的に優位に立つことを優先する。
→あんまり違和感ないな。特に縮小する組織では、優位な位置を選んだほうが長期では利益を最大化できると期待できるから。労働組合が経営者よりのスタンスなのも会社の存続と組合活動を終えた後の仕事を考えているから。

・日本の場合、国策決定は空気で決まる。国益が最大化する国策でも国民の「感情的な批准」がないと実行できない。日露戦争のポーツマス条約反対運動、南京攻略後の和平交渉を無視した戦争継続、日米開戦。空気に流されて決定された。
→昭和天皇の言う「勢い」か。だから勢いの芽を摘むのが大事。日米開戦においては張作霖爆殺事件を起こした河本大作大佐を処分せず陸軍中堅の下剋上を見逃し、増長を許したこと。

・アメリカの力の強さは復元力。常にメインと相対する勢力が共存しており、メインが失敗したら対抗勢力がメインを張る。それは自由と平等という相いれない理想を追求する過程で身に着けた能力。

・中国は人口減少が迫っているから今のうちにポジションを上げておこうと焦っている。また、国内と華僑ネットワークの支持を気にしながら一帯一路など支持を得やすい政策をうっている。

・アメリカ、日本は核保有のままの南北接近を恐れている。

・アメリカは核兵器を無効かするAI技術開発を中国と争っている。北朝鮮核問題もその技術ができるまで待っている可能性がある。

・日米外交のフロントラインは日米合同委員会。日米合同委員会のアメリカ側代表は在日米軍。在日米軍の既得権(ゴルフ場代なども面倒見てくれる基地等)を考慮した政策になりがち。それをアメリカ本国が追認。ローカルな利権に基づく政策が国策になっている。
→日本軍の暴走と構図が同じだが、「空気」で政策を決定しなから大事にならない、ということか?