【書評】人事の日本史

会社などの複数の人間が集まった組織ではいわゆる「組織の論理」が働き人事が決められる。この効果をもとに日本史を解釈しなおした本である。

教科書では世界史の影響も踏まえた日本史全体の流れをもとに、歴史的事件、歴史の登場人物の行動が語られる。これは後世の歴史家の解釈であって、実際は学閥や天下り、玉突き人事といった組織の論理が強く影響している。現代の会社と同じように。

この本は、自分が日々見ている組織の論理でされているので、歴史をより身近に感じられるし、組織の論理の教訓として歴史を学ぶことができる。

・大化の改新は、天武天皇が豪族の中から官僚を選ぶ大リストラにより完成した。大リストラは 、壬申の乱に勝ち、カリスマ性があって強権がふるえたからできた。

・位階を授からないと官職につけなかった。位階は天皇への忠誠度、勤務態度で決められた。→会社の職掌と職務と同じ。律令制の名残。

・位階は五位以上が貴族。

・菅原道真は学閥を持っていた。ライバルの学閥の攻撃により失脚した。

・源頼朝が目指したのは東国自立主義。自分たちを引き立てる天皇、上皇との関係はない。そのため、部下との関係を第一とした。それが御恩と奉公の関係。

・足利義満に認められた世阿弥は義満没後、降格人事をくらった。しかし、腐ることなく追い抜いた相手の芸を学び、自らの芸を磨き続けた。だから現代にも残っている。

・他に候補がいるときに直接のライバルと争うと共倒れになる。名ばかりの官位でも実力者が持つと力を発揮する。秀吉の関白就任のように。

・土井利勝は将軍の代替わり後も重用された。諸大名からの人望が厚く、幕府政治の安定には不可欠な人材だったから。