【書評】ヤマト政権と朝鮮半島 謎の古代外交史

前半は日本と朝鮮半島南端(任那みまな)が一体と考えられていたことをアカデミックな知見から述べ、後半は任那滅亡後、対馬以北を国境と意識した外交が展開されたことを説明する。文献情報が少なく、日本史の謎の期間と言われる時代だが、朝鮮半島情勢と半島勢力と任那をめぐる関係、という視点で見ると、ヤマト政権の姿が具体的に見えてくることがわかった。アカデミック的な説明は難しいという短所より客観的という長所がまさっており良かった。勉強になった本でした。

海峡をまたいで任那に関与し続けるのことはコストが大きかった。臨機応変の対応ができないことを見越され、百済と新羅に任那(みまな)を併合されていった。

聖徳太子は隋に百済、新羅より日本の方が上だと認めさせることに成功した。一方、中大兄皇子は唐に新羅と日本が同列とみなされ、唐との関係構築に失敗した。

聖徳太子は中国外交をこれまでの朝鮮半島経由から直接外交に切り替えた。