【書評】昭和23年冬の暗号

猪瀬直樹氏のノンフィクション。東條英機はなぜ未来の「天皇誕生日」に処刑されたのか推理小説のような流れで迫っていく。情報提供者の素性が隠されているのも「先の話で何か明らかになるのでは」と期待してついつい読んでしまう。「昭和16年の夏の敗戦」とはタッチが異なる。どちらも読み応えがあった。

明仁上皇が太平洋戦争の慰霊の旅に熱心であられる理由が明確では無いがわかった気がする。本では語られていないが、マッカーサーによって封じられた退位をいろいろ議論が出た中で実行されたことも、太平洋戦争に対する「区切り」(良い表現が思いつかない。。。)というお考えがあったのではないか、と気づき、国民が議論して決める類の問題では無かったのだと思いいたる。壮絶な人生だ。