いろいろな作家さんの文章を著者の視点で解析している本。本を読んでいると「読みやすいな」と感じてすらすら読める場合と途中で読むのをやめてしまうときがある。ストーリー展開や内容の違いかな、と何となんとなく思っていたけど、この本を読んで作家さんがいろいろなテクニックを使って読者に読ませる文章を書いていることが分かった。司馬遼太郎さんの歴史小説をよく読んでいたけど、「映像をとる視点で書かれている」という解析に納得。だからよくドラマになっているし、TV全盛時代にはやったのかも。作家さんの解析結果を読んだうえで、その作家さんの作品を読むと面白そう。
・「思う」「感じる」など、語尾をあいまいにすると誠実さがうまれる。
・状況だけでその感情を表現する。
私の耳は熱くなった。コーヒーに手を付けなかった。一駅乗り過ごした。
・司馬遼太郎さん。焦点の当て方にポイントがある。見えないビデオカメラを持っている。ビデオカメラで街の風景を撮影していきながら、筆を進めていたんじゃないか。
家の隙間からのぞくと、そこには湖が見える→パン(左右に動かす)
水平線はもやでけむっていた→ティルト(上下に動かす)
隙間をくぐって→ドリーイン(近づいていく)
動かない情景の中で、1つだけ動くものに→ズームイン
洗っているもの→フォーカス
一定の速度、歩く速度に保たれている。始動と止めるときはゆっくり。
・売り込みのストーリー。1.何を売り出すのか。2.どういう人が、どういうときに必要だと思うのか。3.そのために、どうしてそれがベストだといえるのか。
・古代ギリシアの歴史家プルタコス「自分の内側で達成したことは、外側の現実を変えるだろう」
・みんなが同じような書き方をする世の中なんていやだ。誰もがみんな、その人らしい言葉を自由に使えばいいじゃないか。