【書評】住友銀行秘史

バブル時代にあったイトマン事件の「裏」の当事者が経緯を詳しく書いた本。主力行だった住友銀行の権力闘争に加え、政治家、官僚、マスコミ、裏社会も加わり多くの人の思惑がからんで進行していく。当事者だけに具体的な行動、言動、心の動きが出てきて臨場感がある。よく書き残してくれたと思う。闇に葬られがちな事件がこれで歴史に残る。最近も似たような事件が起きている。こういう本を参考にして裏で動いた人がいたんだと思う。
山口FG、会長解任クーデターの舞台裏…背後にアイフルと共同での“新銀行設立”構想

・不正融資のスクープは、株価、地価上昇時はインパクトない。株価と地価が下がり始めないとだめ。

・密告のレターは自分の指紋を残さないよう、扱うときは必ず手袋をし、最後に念を入れて拭き取ることを忘れなかった。絶対にばれてはいけないと決意していた。攻めるなら、大きな戦略と細心の注意がなければ。

・イトマン社長の取締役会での解任は、三越の社長解任を参考にした。そのノンフィクション「解任」を読んだ。

・ 「目的は達成したが高揚感はまったくなかった」虚しさ、苦さ、重さ。人の首を切る、一人の人生を変えるというのは、やはり相当のことなのだ。疲れ切っていた、まだ先がある。