危機が人をつくる。幕末の坂本龍馬と高杉晋作の生い立ちと活動が根拠資料をもとに詳しく書かれている。二人の現代の組織人的な考え、行動をしていたことに驚く。自由人というイメージが作られている坂本龍馬は資料からは土佐藩を第一に考えていたこと。旧組織にとらわれない革命家のイメージが強い高杉晋作は、上級武士として官僚的な考えであったこと。彼らのやりたいことの実現のためには藩の組織が必要だったし、組織の側も組織を時流にのせて組織を生き残らせるためには、看板が必要だということか。二人は時々に都合の良い「看板」としてイメージが作られていく。坂本龍馬と高杉晋作ともに現代社会にもいる会社にいるハードワーカーで社内外で祭り上げられている人、という身近なイメージがもてた。家庭を省みること無く、妻は幸せに成れなかったというとこも現代的。
・松下村塾はもともと上級武士の塾であり、生徒の50%がエリート武士の士分。卒(足軽、中間)が10%。全体の83%が武士身分。志士として活躍したのは、10%の卒出身の人たちが多数だった。→明治維新の受益者の多くは下級武士出身。旧組織でも支配階級に入っていた人たち。現代社会も大学はどこであれ学卒が優遇される。なんか共通点がありそう。
・久坂玄瑞が吉田松陰から教育を受けたのは2ヶ月のみ。その後、久坂玄瑞が諸国の志士に吉田松陰を紹介してまわったので、吉田松陰が全国的に有名になった。
・白石正一郎は豪商でも奇兵隊スポンサーでもない。支藩清末藩1万石の御用商人。弱小商人で商売のチャンスを探していた。