就職氷河期世代の実態をデータをもとにあぶりだしている。 氷河期世代のアンダークラスの厳しい現状があらためて浮き彫りにされている。国の政策の影響でアンダークラスが多く生まれた氷河期世代は、戦争で多くの若者が戦死した戦中世代と立場が似ているように感じる。
就職氷河期は1994年から2007年まで。前期、中期、後期に分けられる。
・前期:1994-1996、就職率の低下が始まった世代。就職率は60%代を維持。
・中期:1999-2004、1999年に就職率60.1%に急落し2004年まで55%半ばで推移。
・後期:2005-2007、回復のきざしがでて59%代までもどった。
氷河期世代の格差は特に大きい。さらにアンダークラスの固定化も強い。氷河期世代が中高年になると、さらに大きな格差が生まれる。社会の分断要因となる可能性が高い。日本の格差問題が氷河期世代に凝縮されている。
アンダークラスの救済が必要だが、当事者である氷河期世代は自己責任論が強い。それが今後、救済が進まない原因となる可能性がある。アンダークラスvs.それ以外、という内部対立が存在する。
フリーター第一世代が高齢者になり、氷河期世代が40歳代後半から50歳代になる2030年、社会的コストが増大していく。
・結婚せず独身で老後を迎える。再生産(子供を残さない)しない。
・子供がいても貧困が連鎖してしまう。
・生活保護費29.9兆円。平均余命から推算。
・人間関係もお金もない「無敵の人」を作り出す。秋葉原無差別、京都アニメーション放火
対策
・賃金格差の縮小
・所得の再配分
累進税の強化。高所得者は政府の活動によってもっとも利益を多く得ている人々でもあるから。本人に努力や才能だけで富を得たわけではない。富を得るためには、社会が安定していること、質の高い教育を受けた労働者がたくさん存在すること、交通や運輸、通信などの社会資本が充実していることなどの条件が揃っている必要がある。これらは政府が税金を使うことによって実現している。ゆえに高所得者が多くの税金を負担するのは当然だろう。