近衛文麿と日米開戦 内閣書記官長が残した『敗戦日本の内側』 (祥伝社新書)

日本が開戦する原因の1つなったアメリカによる対日石油全面禁輸。日本の仏印進駐に反応したものでなく、対ソ戦(北進政策)をちらつかせた関東軍特殊演習に対応したものである、という見解が勉強になった。当時、アメリカの最優先事項は、イギリス支援であった。ドイツがソ連に勝てば、ドイツのイギリス侵攻が現実味を帯びる。日本が北進政策を取りソ連を攻撃すれば、ドイツの勝利が現実化する。それを阻止するため対日石油全面禁輸を行い、石油確保を主眼とした南進政策をとらせるよう仕向けた。

このアメリカの優先順位を知らずに日本側から見ると、アメリカが戦争を仕掛けさせようと仕向けている、と感じてしまう。

アメリカを交渉の場に引きずり出すため日独伊3国同盟を締結した松岡外相が強硬に北進政策を主張していたのは、アメリカの考えを理解した上での主張だったのかもしれない。北進政策をとっていたら歴史が大分変っていただろう。しかし、外交のためとは言え、非人道的なナチスドイツと同盟を結んだことは、戦争に勝ったとしても禍根を残したと思う。