冒頭に訳者でなく研究者の解説がきており概要を理解することができる。章の副題「無力な個人が生きる術」がキャッチ-である。
民主主義社会では多数派が絶対的な力を持つ。さらに同調圧力ももつ。個人主義といいつつ、多数派と違う意見を持てば、社会的制裁をうける。
グローバル化により同質化して、似通った境遇にある人は、必然的にあまり変わることのない欲求、習慣、趣味を持つ。各自が考え至った信念であっても結局みな似通ったものとなり、多数派が生まれる。
情報過多の社会では、1つ1つの情報を吟味する習慣、深く追及する習慣が失われていく。
平等と個人の矛盾
物質的豊かさの追求に没頭することが人を不幸にする。自分で豊かさを測る物差しを見失い、幸福でなくなる。
他人と比較することで幸福を求めながら不幸になる。ルソー
「不平等が社会の共通の法であるとき、最大の不平等も人の目には入らない。すべてがほとんど平準化するとき、最小の不平等に人は傷つく。」