現在問題となっている社会問題の解決のためには、最貧層の幸福、環境問題にフォーカスした経済政策が重要であることを多くの検証結果をもとに説明している。
経済成長は全ての人を幸せにしない。2,3%の人が富を独占し、99%近くが負け組となる。経済成長は変化を伴う。すべての人間がその変化に対応できるわけではない。変化に対応できない人が負け組となる。怠け者が負け組になるわけではない。やる気があっても、富がある人とくらべ、制約が多い。
「よい経済学は無知とイデオロギーに打ち克ち、防虫剤処理を施した蚊帳を売るのではなく無償で配布させることに成功し、マラリアで死ぬ子供の数を半分に減らした。一方、悪い経済学は富裕層への減税を支持し、福祉予算を削らせ、政府は無能なうえに腐敗しているから何事にも介入すべきでないと主張し、貧乏人は怠け者だと断じて、現在の爆発的な不平等の拡大と怒りと無気力のまん延を招いた。視野の狭い経済学によれば、貿易は万人にとってよいことで、あらゆる国で成長が加速するという。あとは個人の頑張りの問題であり、多少の痛みはやむを得ないらしい。世界中に広がった不平等とそれに伴う社会の分断、そして差し迫る環境危機を放置していたら、取り返しのつかない地点を越えかねないことを見落としているのである。」
経済成長の機関車がいつ走り出すかはわからない。しかし、人的資源への投資、インフラ投資をきちっとしてきた 貧困国が走り出した機関車に飛び乗れるチャンスが大きい。グローバル化の勝ち組になった国の多くが人的資源、インフラに投資してきた旧共産圏(中国、ベトナム)や共産圏と対峙してきた韓国、台湾。