開戦と終戦をアメリカに発した男 戦時外交官加瀬俊一秘録 福井 雄三/著 毎日ワンズ

太平洋戦争(著者は大東亜戦争と表現)の開戦から終戦までの、著者の歴史観が、外交官加瀬俊一の経歴を追いながら述べられている。歴史はいろんな見方ができるものだと改めて感じました。

・開戦責任は海軍にもある。海軍が自分たちの存在意義を示せるのは対米戦しかなかった。いかなる戦争も基本は陸主海従である。海軍が分立し独自に統帥権を乱用したのが問題である。

・組織というのはいったん既得権益を手に入れてしまうと、もはや自浄努力でそれを手放すことは絶対に出来なくなる。

・英米の説く民主主義、人道主義は彼らの利益につながる。平和主義は現状維持を有利とする既得権益国の主張。一方、新興国は現状打破を有利と考える。膨張発展を封じられるから。→香港に対する中国の行動もこの考えなのだろう。香港返還時にイギリスとのいろいろな合意事項があったけど、当時の力関係で決められたもの。今は状況が大きく変わった。そもそも香港は中国のもの。といったところか。加えて、コロナで内政ゆるんでるから、引き締めのためにも、この時期に対外強硬策に出とこ、といった感じか。