教養としてのアート 投資としてのアート

これまで美術館に行っても、現代アートにはあまり興味を持って観賞することはありませんでした。しかし、この本を読んだおかげで、今後、投資対象として見る視点が加わり、興味を持って観賞できそうです。
美術の価格形成メカニズムの説明から、アート投資がベンチャー投資に通ずるものがあるという著者の説明にも納得感がある。
価格形成メカニズムは、有力ギャラリーがアーティストのプロデュースをしていく過程が説明されており、芸能界のジャニーズとかと一緒だなと感じた。
自分の好きなものでなく、価値が上がる可能性があるものを買わないいけない、という説明は、投資そのもの。
金融商品の投資の勉強にもなる。

著者が代表をつとめるアジア最大級の現代アートのオンライン販売「tagboat」
タグボート

・マルセル・デュシャンによって「作品をコンセプトで表現する」ことが現代のアートでは重要になった。

・アートは新しいコンセプトをつくる競争。

・個人の好き嫌いでアートを買うと投資効率が下がる。アートに関する基本的な知識を持ち、専門家から適切なアドバイスを受けた範囲内で選ぶと投資効率があがる。

・アーティスト自身は感性で作品を制作しますが、売るときにはその作品の世界観を説明するロジックが必要となります。つまり、販売するギャラリーは右脳で作品を感じながら、左脳で作品のもつすばらしさを論理的に説明しないと価値づけすることができない。

・絶対に成功したいと思うアーティストは執着心が強く、貪欲です。
 成功のために、諦めるということを知りません。

・4大ギャラリーは、ガゴシアン・ギャラリー、デイヴィッド・ツヴィルナー、ハウザー&ワース、ペース・ギャラリー。
 4大ギャラリー所属のアーティストは価格が上がりやすい。顧客基盤とプロモーション力があるから。
 今後、巨大市場の中国で、政府主導のギャラリーが生まれ、既存の4大ギャラリーと熾烈な競争になる。GAFAとアリババ、テンセントの競争のように。

・効率的なアートの選び方は、予算→作家→作品
 非効率なのが、作品→作家→予算
 作家によってサイズごとの価格帯が決まっているから。