ローマ人の物語 (17) 悪名高き皇帝たち(1) (新潮文庫)

内容は歴史家のタキトゥスから手厳しく批判されている3代皇帝ティベリウスを再評価する流れ。
ティベリウスはストイックに政治・外交に取り組み、課題を解決していく。上司のアウグストゥスに翻弄され、元老院も彼の真意を理解してくれず、家庭内では血統にこだわるアウグストゥスの孫娘アグリッピーナからは敵意むき出しにされ、心休まることはない。仲間もいない1人の状態で仕事をもくもくとこなしていく。中年サラリーマンのようで親近感がわいた。

・ローマ人がはじめて、街道をつくったのではない。しかし、街道は1本でなく街道網として構成すれば、その機能もより高まることを考え実行した。ローマ人がはじめて、法律を作ったわけではない。法律体系をつくり法治国家として機能させた。この街道、法律はメンテナンスが必要。メンテナンスを怠れば、システムが不調となり、最終的に崩壊する。それが最も非経済的である。機能性の不断の追及は、持てる力の効率的な活用の巧みさによって可能になる。

・アウグストゥスは不明瞭な統治システムを残さざるを得なかった。「第一人者」の権力基盤の不明瞭さがわかっていたので血の継承にこだわった。

・ティベリウスはローマにいながらライン、ドナウ防衛線の再構築を行った。これは、若いときに現地で指揮を執って現場が分かっていたからできたことである。