パックス・ロマーナを実現したアウグストゥスは「国家の父」と呼ばれるようになるが、後継者選びと、ゲルマニア攻略に苦戦する。後継者は、紆余曲折の末、妻リヴィアの連れ子ティベリウスとなり、皇帝ティベリウスのもとゲルマニアから撤退する。アウグストゥスの死までが書かれている。晩節を汚した形になったアウグストゥス。カエサルと対照的に、あそこまで血統にこだわる理由がはっきり分からなったことが消化不良。皇帝とはそういうものかもしれないが。それと、ゲルマニアの失敗は、アウグストゥスが現状把握を怠り、机上で考え、かつ未開地の属州統治に明るくないヴァルスが派遣されたためとなっている。それに加え、アウグストゥスが高齢で、結果を早く出したくて、ローマ化を急いだため、というのも原因ではないかと感じた。自然の流れに逆らって急ぐと失敗が多い。自分の周りでもよくあると思った。
・人間とは、不可思議な生き物である。負ければ責任のなすり合いで分裂し、勝てば勝ったで、今度は嫉妬で分裂する。それゆえに、勝つか負けるかよりも、分裂することで持てる力の無用な消耗をしたかどうかのほうが、最終的な勝敗を決するのではないでしょうか。
・文章は、用いる言葉の選択で決まる。
・こだわるという精神的行為は、必ず代償をともなうものなのである。