自分の欠点を自覚してアグリッパ、マエケナスを右腕、左腕として活用し、パクス・ロマーナを実現していくアウグストゥスの内政の話を中心とした巻。
元老院を欺きながら帝政へ移行していく、という見立てで話が進んでいく。
その見立てだとわかりやすい。
しかし、読んでいて結果論として帝政となった、という見方もできるな、とも思った。
元老院が無くなるのを警戒して王政に反対している元老院派に対して、元老院を残しかつ、独裁官を世襲にした新たな制度を作っていった、それが後の帝政だった、という印象もうけた。
・(アグリッパが公私ともにアウグストゥスに協力を惜しまなかった理由について)低い身分に生まれながら公共事業をまかされるまでになった自分を、幸せに感じたからではないか。
・アグリッパは、もしもカエサルに見出されなければ、そしてもしも凡庸な指揮官の下で働くしかなかったならば、百人隊長以上の出世は望めない生まれだった。
・「指導者に求められる資質は、次の五つである。知性、説得力、肉体上の耐久力、自己制御の能力、持続する意思。カエサルだけが、このすべてを持っていた」(イタリアの高校の歴史教科書より)
・創造性(将来イメージ)を欠く現実認識力は、百点満点の知性ではない。
・相手の戦法を飲み込む。
・ぎりぎりのコースを打たれて、打ち返せたときが面白い。打ち返せなかったら面白くない。そこが苦しいところ。
・「PAX」は、ローマでは、上から下までのすべての人々にとっての国家目標にはった。